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保育士不足

お知らせ2013年08月17日

保育所の待機児童数を三年間で大幅に減らした横浜市は、新たな課題に直面している。認可保育所の急増に伴い、保育士の確保が年々厳しくなっている。保育士の入れ替わりも激しく、ある保育所では十三人が一斉に退職する事態に。保育の質をどう保つか、待機児童が多い東京でも対策が進めば、同じ問題が出てくる。(中沢誠)

「三月三十一日になってもチラシに保育士の求人が出ていた。こんなの初めて」

JR横浜線中山駅に近い民間の認可保育所「みどり寺山保育園」(横浜市緑区)の寺田隆昭園長は驚く。「特に今年は新設の園が大幅に増えた影響で、保育士の出入りが激しく、多くの園で確保に苦労している」と明かす。

みどり寺山保育園でも三月末で十三人が退職した。寺田園長は「結婚などに加え、他の園に転職する人が重なった」と打ち明ける。五、六社の保育士の人材派遣会社に声を掛け、先月中に何とか補充した。

二〇一〇年四月に全国の市区町村でワーストの千五百五十二人の待機児童がいた横浜市は、民間保育所を積極的に誘致し、認可してきた。

さらに今月は、過去三年間で最多の六十九園を増やした。最低でも新たに六百人の保育士が必要となり、獲得競争が激化。保育所側から市には、これまで以上に保育士不足を訴える声が相次いだ。

危機感を抱いた市は就職情報誌で就労支援講座への参加を募ったり、県外の養成校をまわったりして、保育所の求人活動を側面支援。必要な保育士は確保できたとしている。

東京などでは今年に入り、認可保育所を増やして待機児童を解消するよう求める保護者が、区などに異議を申し立てる動きが相次いでいる。保育所が増えれば、保育士不足の問題が一層、顕在化してもおかしくない。横浜市保育運営担当課の本間睦課長は「東京で保育所が増えれば、限られたパイを奪い合うことになり、横浜への影響も少なくない」と話す。

待機児童の多い自治体を対象に、厚生労働省が行った二〇一一年度の調査では、八割が「保育士不足」と答えている。保育ニーズの高まりに逆行して、保育士不足に拍車をかけている背景には待遇の悪さがある。

民間の認可保育所の場合、国や自治体から支出される運営費に、保育士の人件費も含まれている。だが、国の基準に基づく給与水準は十分とは言い難い。一二年の国の賃金構造基本統計調査によると、民間保育士の平均給与は月約二十一万円。全業種平均の約三十三万円を大きく下回る。

待遇面から長続きしない人も多く、保育の質にかかわってくる。

国は今月から、待遇改善策として民間保育所に勤める保育士の給与を引き上げる。試算では最大月八千円程度の上積みとなる。

全国福祉保育労働組合(東京)の澤村直(ただし)副委員長は「待遇改善は前進したとはいえ、金額的、制度的にまだ不十分。今の労働条件のままなら、いくら器を増やしても保育士は増えない」と指摘する。

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