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保育士不足

お知らせ2013年01月19日

待機児童が減らず、保育所の増設や定員増が求められる中、保育士不足に悩む自治体が増えている。背景には、保育士の厳しい労働環境に見合わない待遇の問題がある。そこで厚生労働省は、2012年度補正予算に保育士確保費として438億円を盛り込み、賃金アップなどに取り組む方針だ。しかし、もともとの水準が低すぎて、保育現場からは効果を疑問視する声も出ている。
「せっかくの資格をやりがいのある仕事に生かしましょう」。講師の呼び掛けに約10人の参加者が深くうなずいた。昨年12月、九州各県で待機児童が最も多い福岡県内で開かれた復職支援研修会。資格を持ちながら働いていない「潜在保育士」を対象に、県保育協会などが11年から20回以上実施している。
開催のきっかけは「求人しても応募がなく、子どもの受け入れを断らざるを得なかった」という園長たちの声だった。国の基準で園児数に対する保育士の数は決められており、待機児童を受け入れるには保育士も増やす必要がある。
県によると、県内の保育士登録は約5万人で、うち3万人ほどが「潜在」と推定される。研修会には11年度、30~50代を中心に約130人が参加し、4割が再就職に結び付いた。県も13年度に保育所と復職希望者をつなぐコーディネーターを設け、現場復帰を後押しする方針。それでも「人材確保への道程は険しい」(県保育協会)のが実情だ。
保育士不足に悩むのは福岡県だけではない。厚労省が11年度に待機児童の多い地域を中心に行った調査では、130自治体の約8割が「不足」と回答。早期離職や保育科の新卒者が民間企業に就職するケースも多く、5年後には7万人以上の不足を予想している。
背景の一つに、園児がいる間は休憩も取れないなど肉体的にもハードな労働条件なのに、それに見合わない待遇面の課題がある。
熊本県内の女性保育士(22)は昨年、結婚と同時に2年間勤めた私立認可保育所を退職した。残業代はなく、書類作成などは毎日持ち帰る。休日は発表会の衣装作りなどに追われた。それでも給料は手取り15万円程度。実家暮らしなので何とかやっていけたが、昇給の見通しも立たない。職場の保育士は全員が20代~30代前半の独身。「結婚後のキャリアが描けなかった」と振り返る。
国の賃金構造基本統計調査(11年)によると、民間保育士の平均給与は月額約22万円。全職業平均の約32万円とは10万円の格差がある。そこで厚労省は補正予算で4月から、最大160万円の学費を貸し付け、保育士として5年間働けば返済を免除する制度を創設。私立保育所の保育士給与を引き上げることも決めた。
厚労省は勤続年数に応じて最大1万円上乗せされると試算する。しかし「10万円の格差」を埋めるにはほど遠く、福岡県内にある私立認可保育所の園長も「人件費が全体の運営費の7割程度。多い園では8割を超える。補助金が大幅に増えない限り、給与アップは難しい」と話す。
そこで人件費を抑えつつ保育士を増やそうと、非正規雇用に頼る保育所が目立ってきている。全国保育協議会(東京)が全国にある認可保育所の約3分の1から回答を得た調査(11年度)によると、8割以上が非正規を配置していた。
長時間保育などニーズの多様化に対応でき、短時間パートの方が働きやすいという保育士もいる。半面、非正規の給与水準はさらに低く、雇用条件も不安定になる。
「保育園を考える親の会」(東京)で代表を務める普光院亜紀さんは「保育の質は人材にかかっている。保育士自身も経験を積みながら成長できるように、安心して働き続けられる仕組みが必要だ」と話している。
●背景にジェンダーの問題

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